理事長  三輪 佳久

 長きにわたり、世界中に未曾有の災禍を与え続けた新型コロナウィルスによる感染症は、今年に入り感染者数が激減するとともに、わが国におきましては、感染症の部類の引き下げ移行やマスク着用を個人判断に委ねるなどの緩和対策が講じられ、多くの県民の皆様には、待望久しかったコロナ禍以前の日常生活に戻ることへの大きな期待を抱きながらの毎日をお過ごしのことと思います。  

 さて、当センターも今年4月で設立以来24年目に入ったところであります。この間、私ども支援センターの活動に対しまして、多くの県民皆様から温かいご支援とご協力を賜っておりますことに、改めまして衷心より感謝を申し上げる次第であります。

 ご案内のとおり、犯罪被害者等の皆様に対する支援につきましては、犯罪被害者の視点に立った法律の整備をはじめ、相談者のニーズに適切に応える相談システムの改善が図られるなど、支援制度の整備・充実に向けた取り組みが行われているところであります。とりわけ、多くの被害者やそのご家族皆様から施行の要望が強かった県内市町村における犯罪被害者等支援条例につきましては、県内35市町村中、1市を除く34市町村で施行されたところであります。その内容につきましては、遺族見舞金の支給や死体検案費用の支援、また一部の市町では法律相談等の支援金や清掃費用の助成が盛り込まれるなど、犯罪被害者等の皆様が強く求めていた支援内容となっており、大変心強い条例が施行されました。私どもとしては、多くの市町村で施行はされましたが、これに満足することなく、未施行の市による施行は勿論のこと、施行された市町村に対しては、さらに被害者等が求める支援内容の盛り込みについて引き続き働きかけていくこととしております。

 このような情勢の中、今年度は犯罪被害者等支援条例を施行した市町村と緊密な連携を図り、真に被害者等に寄り添った支援に当たることとしているほか、昨年度から運用を開始した性犯罪被害相談に特化した24時間365日相談対応やメール相談について、さらなる運用の充実に努め、私どもの究極の目標であります「全国のどこにいても、いつでも求める支援が受けられる」相談機関の構築に向けて鋭意取り組むこととしております。

 また、増え続ける面接相談やカウンセリングに円滑に対応することを目的として新たに設置した専用相談室の効率的な運用に努めるほか、被害者相談関連の法律改正や相談システムの整備等を踏まえ、既存の相談員必携「被害者支援マニュアル」を一新し、多様化、深刻化する相談者等のニーズに適切に対応していくこととしております。

 今後とも、宮城県、宮城県警察、各市町村、関係機関・団体との連携を密にし、「途切れることのない被害者の視点に立った支援活動」をモットーに関係者一同、より一層の努力をして参りたいと考えておりますので、皆様の変わらぬご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

                            令和5年5月    


————————————————————————————————